断熱材の価格と知識について

断熱材の価格と知識について

断熱材は快適な生活をする上では欠かせない建材になります。

壁に断熱材が入っていると外気からの暑さや寒さを遮断して、室内の温度を一定に保つことができます。

床や屋根も同様に、断熱材を入れることで室内空間の温度を一定に保ち、夏は涼しく、冬は暖かい環境を整えることが出来ます。

快適住宅

そこで今回は、この断熱材の基礎知識も含め価格についても詳しくご紹介していきたいと思います。

断熱材は何を重視するかによっても素材が変わってきます。

簡単に交換ができないものなので、慎重に選んで失敗や後悔のないよう正しい知識をつけて、これからの暮らしに役立ててくださいね!

【今回の記事のポイント】
✓断熱材の種類と大まかな価格で比較できる。

更新日:2023/6/23
初稿:2020/8/29

《目次》
グラスウール
ロックウール
セルロースファイバー
ポリスチレンフォーム(ビーズ法・押出法)
硬質ウレタンフォーム(ボード・吹付け)
フェノールフォーム
断熱材の比較について まとめ

断熱材_価格_知識

この断熱が機能していないと逆に夏は暑く、冬は寒い室内空間をつくってしまいます。

それでは快適には過ごせませんよね。

この大切な役割を担っている断熱材ですが、実はあまり知識や性能に詳しい人は専門家でない限り少ないです。

そのため、これから長く住む住宅なのに、この大切な断熱材選びが疎かになってしまいがちです。

また、種類以外にも予算のことや様々な条件も一緒に考えることが大切です。

素材、形状、用途、透湿性や施工の工法によっても価格は変わってきます。

断熱材の価格は先を長く見て判断しないといけないので、比較するのも難しい部分はあります。

およその目安としてでもご参考になればと思います。

グラスウール

グラスウールの素材はガラスになります。ガラスを溶かし綿状にし、細い繊維として集結させたものになります。細い繊維が何重にも重なり合うことで空気を含み、断熱性能を高める役割をしています。軽くて使用しやすく、厚みや密度が高くなるにつれ断熱性能もアップします。

また、製法段階でガスなどの使用もなく、リサイクル性にも優れていることで環境に優しい素材になります。グラスウールは大きな種類でいくと鉱物系の部類になりますが、この鉱物系の中でも価格が最も安いかもしれません。

断熱材_グラスウール

多少の吸音性能もあり、ガラス繊維ですから防火性も高く、シロアリなどの害虫被害にも強いです。従来までの断熱材の中では比較的よく使用され一番スタンダードな断熱材と言ってもいいでしょう。

ただ、デメリットとしては防湿性が低いので水分を吸収しやすく、水を吸って重さによって潰れたりよれてしまったりすることで壁との間に隙間ができ、断熱性能が下がってしまいます。そうならないようの改善策としてグラスウールを袋に詰めたものを使用することもあるようですが水分を吸収しやすいことに変わりはないので、そういったところも含め検討することをおすすめいたします。

【価格目安】・・・一棟あたり、約25万円~30万円程度。

【断熱材形状】・・・フェルト状、ボード状、ばら状

【使用可能部分】・・・床、壁、天井など

グラスウールについて詳しく知りたい方はこちら →→ 【断熱材~グラスウールについて~】

ロックウール

断熱材_ロックウール

ロックウールは名前の通り、主な原料は玄武岩などの岩を溶かして繊維状にしたものになります。その他にも製鉄の際に出る鉄鋼スラグなども用いられることもあります。

最大のメリットは熱に強いこと!高い断熱性を保ちつつ、優れた耐熱性によって火事などの被害に強い家をつくれます。また、岩が原料ですから撥水性や吸音性にも優れています。しかし、湿気に弱いといった部分はグラスウール同様、注意が必要かもしれません。

【価格目安】・・・一棟あたり、約25万円~30万円程度。

【断熱材形状】・・・フェルト状、ボード状、ばら状

【使用可能部分】・・・床、壁、天井など

セルロースファイバー

断熱材_セルロースファイバー

セルロースファイバーは古紙などをリサイクルしてつくられる繊維系素材です。繊維の一本一本に空気胞があり、優れた断熱性や防音性、防虫などにも効果を発揮します。

更に、鉱物系の素材にはない防湿性もあり、室内の湿度を適度に保ってくれる効果もあります。リサイクル性の方面から環境配慮を気にする方にはおすすめですし、海外などでもポピュラーな断熱材と言えるでしょう。

ただし、セルロースファイバーは施工の際の難易度が高いため、専用の機械や職人さんが必要となります。そのため、工賃などのコストが他の素材に比べると掛かってきてしまいます。しかし、この先を長い目で見て判断した場合、初期費用がかかったとしても採用される方もいらっしゃいます。

【価格目安】・・・一棟あたり、約80万円前後

【断熱材形状】・・・ばら状、吹き付け

【使用可能部分】・・・床、壁、天井など

ポリスチレンフォーム(ビーズ法・押出法)

断熱材_ポリスチレンフォーム

◆ビーズ法ポリスチレンフォーム

ビーズ法ポリスチレンフォームは発泡スチロールをボード状にしたものを言います。ポリスチレン樹脂をビーズ状にしたものを形成し断熱材として使用します。素材としては発泡スチロールと変わりないので水を弾きますし、軽くて衝撃などにも強いです。

また、細かなビーズの中に空気が閉じ込められているので熱を通しにくく、断熱材としてだけではなく、保冷用の箱としても多く利用されています。

成形も自由自在なのであらゆる分野での使用が可能になり、ボード状だけではなく筒状などにしてエコキュートなどの断熱にも使用されます。断熱材以外でいくと電化製品の緩衝材や鮮魚用のトロ箱などもよく見かけますよね!弊社で製造、販売しているパイナルフォームはこのビーズ法ポリスチレンフォームになります。

【価格目安】・・・一棟あたり、約50万円~60万円程度。

【断熱材形状】・・・ボード状、金型成型時であれば自由な形状が可能

【使用可能部分】・・基礎、床、壁、天井、屋根、土間床など、広範囲での使用が可能

 

◆押出ポリスチレンフォーム

ビーズ法と同様にポリスチレン樹脂を使用した断熱材になります。ビーズ法との違いは製造過程に少し違いがあり、押出機といった機械を使用していることでこのような名前になりました。日本の断熱材では別の商品名で普及していますが、全て分類は同じになります。一番よく耳にするのはスタイロフォームです。こちらはメーカーの商品になります。

原料は同じですから、性能についてもほぼ同じといってもいいでしょう。完全独立した気泡構造中に熱伝導率の低いガスを閉じ込め、断熱性を発揮します。水や湿気に強く、軽量なため施工作業も容易に行え、加工性が優れた素材になります。

【価格目安】・・・一棟あたり、約60万円~70万円程度。

【断熱材形状】・・・ボード状

【使用可能部分】・・・基礎、床、壁、天井、屋根など、こちらも広範囲での使用が可能

硬質ウレタンフォーム(ボード・吹付け)

ポリウレタン樹脂に発泡剤を混ぜてつくる断熱材になります。クッションやスポンジなどに使われる材料と同じです。断熱性や耐久性に優れ、微細な独立気泡の中にガスが含まれています。売り出し当初はフロン系のガスを使用していましたが、最近は地球温暖化などの環境問題の背景により別のガスを使用してつくられています。
断熱材_硬質ウレタンフォーム

この素材は耐水性が低く、水を吸いやすい傾向にあるようで防湿性は他の断熱材と比べると劣るかもしれません。また、現場での発泡剤混入や吹き付け作業に特殊な機械を使用するので誰でも施工が出来るわけではありません。そのため、工賃が高くつく可能性もあります。

【価格目安】・・・一棟あたり、約65万円~80万円程度。

【断熱材形状】・・・現場発泡による吹き付け、もしくはボード状

【使用可能部分】・・・基礎、床、壁、天井など

フェノールフォーム

フェノールフォームは熱に強く、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂を原料とした断熱材になります。使用している素材から、熱伝導率は非常に低く安定していて、断熱性は高いです。しかし、実際の注文住宅や新築建築に使用する際には色々な条件があり、それをクリアしないと使用ができません。
断熱材_フェノールフォーム

また、シロアリなどの防虫に弱いのも欠点としてあり、高価な素材を使用していることで価格も高くなってしまいます。そのため、断熱材としての普及率も未だに低迷しているように感じます。

【価格目安】・・・一棟あたり、約70万円~80万円程度。

【断熱材形状】・・・ボード状、筒状など

【使用可能部分】・・・基礎、床、壁、天井、屋根など

断熱材の比較について まとめ

ここまで断熱材の基本的な知識や価格について解説してきました。マイホームで快適な暮らしを手に入れるためにはやはり、断熱材の存在は大きいと言えるでしょう。外気からの冷気や暖気の侵入を防ぎ、室温を保つことで冷暖房機器のコスト削減にも繋がりますし、湿気や隙間風から住宅を守ることでお家の寿命にも繋がります。

表には見えない部分になるのでこだわりにくい部分ではありますが、断熱材を簡素にしてしまうと後々大きく響いてきます。見えない部分であってもコストを抑えるより、しっかりとしたものを選んで施工する方が賢いでしょう。

断熱材_価格比較

建設当初の初期費用が多少高くかかったとしても、この先何十年と住む家ですから、冷暖房機器のランニングコストやその後の修繕なども含めて考えていけば十分に必要な経費になると思います。

また、使用する断熱材の素材だけではなく、施工する工法なども関わってくるので一般の方が全てを理解して納得するのは中々難しいところかもしれません。ですから、理想のマイホームを現実にしてくれる建築会社や工務店、ハウスメーカーなどをよく検討していくことが重要になってきます。これは新築、注文住宅だけではなく、リフォーム・リノベーションをする際も同様です。

そして、いくつかの種類の断熱材を比較してみてわかる通り、特徴や価格はバラバラです。どの素材を選ぶかは住む地域の環境や、設計、工法などによって選択基準も異なります。

断熱材の性能など、断熱材だけで総合してみた場合、近年の住宅事情や時代を考えてもポリスチレンフォーム(ビーズ法・押出)が一番おすすめかもしれません。弊社としても自信をもってパイナルフォームをおすすめいたします!

断熱材.jp監修者コメント

監修者

堀 清憲(気密測定技能者)
Hori  Kiyonori

しっかり断熱をすることで、省エネ効果の高い住宅になることは容易に想像できますが、もう1つ大きなメリットがあります。断熱性能の低い家に住んでいる場合と高断熱住宅に住んでいる場合とでは、健康に対する弊害が生じる可能性も異なります。断熱は家の基本性能。皆さんが快適に暮らせるよう断熱材を通してお手伝いしていきたいと思います。

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