湿式工法と乾式工法について

湿式工法と乾式工法

断熱工法には施工方法や使用する素材によって今まで沢山の工法が開発されてきました。その種類は数十種類にもなり、その現場によって何が一番最適かを考え施工します。

色々な工法がある中で、今回は外張り断熱工法を紹介いたします。外張り断熱工法の外壁仕上には2パターンの施工方法があり、それが湿式工法と乾式工法になります。 湿式?乾式?…皆さんからすると「?」マークですよね。それでは、そんな皆さんに簡単に湿式工法と乾式工法の違いをわかりやすくご説明していきたいと思います。(充填断熱の外装仕上げにも湿式と乾式がありますが、今回は外張り断熱に限定して書いていきますね。)

まず、簡単に述べてしまうと文字通り、【湿式】は使用する外装材に水分が含まれているものを使用する工法のこと。反対に【乾式】は使用する外装材に水分が含まれてなく、乾燥しているものを使用する工法になります。

湿式工法

湿式工法

湿式工法とは

木造の場合の湿式工法は、躯体に断熱材を専用ビスやモルタルで貼り付け、その上に仕上のモルタルを塗り込んでいく工法です。これは外壁を断熱材で支えるような形になる為、なるべく軽量の材料が求められます。それに加え、透湿性があるものが良いとされています。なぜなら、湿式工法はコンクリートを通して室外の水蒸気が直接断熱材に触れるので、冬場に凍結などが起こってしまうとそのまま凍害なんて事になってしまいます。

また、モルタルや土壁材などを使用する為、手間はかかりますが、材料や種類の調合によって様々な質感や雰囲気などが楽しめるのもポイントです。左官職人の手仕事となれば複雑なものでも対応可能です!ただ、施工時の天気などによっては施工が難しくなったり、乾くまでの時間に多少の時間を要することがあるので、工事期間を長めに見ることもあります。

最近ではこの左官職人の造る質感や雰囲気が好評で、あえてこちらの湿式工法を依頼する方も少なくありません。また、素材を調合してつくるので天然素材にこだわることが出来るので自然派の方にも人気があります。そして耐久性も高いとされています。

乾式工法

乾式工法

乾式工法とは

乾式工法とは、外張り断熱材の上に胴縁を設置し、工場で大量生産された窯業系サイディングや金属系サイディングなどを設置する工法です。現在の建売住宅などにはよく使用され、現場では化粧板などと言われることもあります。湿式工法とは違い、外壁と躯体との間に水蒸気排出の為の通気層と呼ばれるものがあるのが特徴です。

湿式工法と比べると天候や時期にも左右されることなく施工が可能で、簡単にパネルを取り付け出来る為、施工日数も最短で仕上げることが出来ます。また、建材が軽いため地震にも強いとされています。ただ、湿式工法とは違い、出来上がったパネルやボードを使用するので複雑な建物への利用は時に難しいこともあり、デザイン的に制約を受ける可能性もあります。ただ、先ほども述べたように通気層と言われるものがある為、湿式工法では使用が難しいタイルや石などを使用して施工するこも可能です。

そしてメンテナンスにおいても比較的に簡単で、部分的に修復することも出来るので最小限にすることも可能になります。また、工場での大量生産や技術の進歩によって質が良く、容易に設置できるようになり、左官職人のように長い経験と知識、職人技がなくても施工ができ、職人の腕に左右されることなく均一に工事が可能となりました。

乾式工法~サイディング外壁

サイディング外壁

湿式工法~漆喰外壁

漆喰外壁

まとめ

今まで述べてきたように、湿式工法と乾式工法ではそれぞれメリット・デメリットがあります。簡易的な施工で一定的なクオリティーで品質が保ちやすい乾式工法と、職人技が光り、個性的で表情豊かな建物が造れる湿式工法とでは良し悪しも満足度も違います。自分たちがどんな家でどんな生活を送りたいのか?また自分たちのライフスタイルや生活環境(暑く日が長い場所に住んでいるのか?雪深い寒冷地に住んでいるのか?)などを想像し、自分たちに合ったものを選ぶことが大切になってきます。

また、今回は外断熱についてですが、断熱は外断熱と内断熱にも分かれています。外断熱工法は、建物の外側から断熱材を配置する工法ですが、マンションなどのRC構造の外断熱と、木造を中心とした住宅などの外張り断熱工法の双方を言うこともあります。しかし、これは実は別物になり、ここで言う外断熱とは一般的にRC構造などの大きい建物に限ります。

皆さんも断熱材を選ぶ際には、目先のコストだけを気にするのではなく、数十年と共に生活する家なのでその後のメンテナンスや修繕(リフォーム)なども視野に入れつつ、一つずつ丁寧に選んでいくことがキーポイントです。頻繁に変えることが出来ない買い物になりますので、専門家へ自分たちの要望も伝えつつ、専門家の知識も伺いながら進めることで最終的に自分たちが満足、納得のいくモノが出来上がってくると思います。

 

豆知識

【番外編】~左官についての豆知識~

何度か出てきた左官職人という言葉。実は歴史が古く今に続く技術も持っているということ。それなのに後継者不足で技術や技法が失われつつあるこの左官業とは現在に至るまでどのように継承されてきたのかを少しお話したいと思います。

始まりは縄文時代からと言われ、その時代、竪穴式住居という土壁の建物で生活をしていたその土壁から左官は始まっていると言われています。その後、時代の変化と共に生活様式も変わり、土壁はどんどん進化を遂げるのですがそこに大きな岐路を見出したのがお城です。石灰を使用して白塗りの壁を造る技術や、細木などを駆使して頑丈で利便性のいい壁を造ることで左官業としての技術や技法、職人技というのが確立されてきました。その後には茶室など、利便性よりも遊び心を持った建物が増え、そこで新たな技術や流行りが生まれたとも言われます。

そしてお城や茶室など位の高い方からの依頼が増え、左官業がいい職業としても認められてきました。左官という名がついたのも所説ありますが、そういった官邸に出入りすることから官職として位を頂いたという話もあります。今でこそ後継者が少なく、失われつつある職業ですが昔は人気があったんですね!ただ、この左官の技術は現代においても見直されるほど利便性があり、合理的なことが沢山あるようです。

近年、この左官が脚光を浴びたのがNHKの大河ドラマ「真田丸」です。ドラマ冒頭のタイトルを一人の左官職人が描きました。元々、字を書いたりするようではないので土壁に文字を書くのはかなりの技術が必要になってきます。それなのにその文字から伝わってくる迫力と芯の強さのようなものは圧巻で、沢山の視聴者から好評だったという話です。その文字を書いた左官職人は現役で、海外にも左官を広めるようなお仕事をされています。その土地土地で環境も生活も違いますから、その地域にあった住宅や建物が存在していますが、左官においてはどこでも通用する可能性があるかもしれません。なぜなら、本来は身近にある材料で工夫を凝らし造っていたのでその土地で育った木の枝や、土を使用するのが一番その環境に合っていると考えられるからです。

是非、その左官職人さんの働きで世界へ左官の良さが広まれば嬉しいですね。まさに真田丸のように強い意志と力をもって世界で活躍してほしいものです。そして日本でもこの技術と技法が受け継がれることを心より願っております。

左官職人