基礎断熱とは?工法や特徴
基礎断熱とは文字通り、基礎と言われる部分に断熱材を使用し、建物の外周全ての断熱を行い、床下空間を室内空間へとしてしまう工法になります。
施工場所は昔の住宅によくある床下の換気口はなく、ESPボード材を基礎の外側へと同時に打ち込んだり、内側、または両側へ施工します。
ESP材の外部は樹脂モルタルやボード張りが一般的です。そして、吸気口を付ければ床下コンクリート熱容量を利用して余熱空間を利用したり、床下配管などの凍結防止にもつながり、収納スペースとして床下を空間利用することも可能になります。
【今回の記事のポイント】
✓基礎断熱と床断熱の違いやメリット・デメリットがわかる。
更新日:2023/6/23
初稿:2020/9/23
《目次》
・基礎断熱工法がなかった過去の問題
・床断熱との違いはどこ?
・基礎断熱のメリット・デメリット
・~断熱材の始まり~豆知識
基礎断熱工法がなかった過去の問題
床断熱とはまた違い、床下と室内の温度差を少なくするよう技術開発がされ、日本でも寒冷地で試行錯誤を繰り返し検証された後、現在の基礎断熱ような工法として確立されました。
しかし、この基礎断熱技術が開発されてからは、問題視される事も少なくなり、床が冷たくて歩けないなんてことはなくなりつつあります。ただ、この基礎断熱にも工法は色々あるので、住宅の暖房の仕様によっては、どの基礎断熱が一番効率がいいかを判断しなければいけませんので注意が必要となります。そういったところは弊社のような断熱材の専門店に相談し検討するのが一番かと思います。
断熱材のことや工法について詳しく知りたい方や、ご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。
床断熱との違いはどこ?
では、基礎断熱と床断熱とは何が違うのかと言うと…
床断熱は、床下の全面部分を断熱材で覆い施工します。これは床下からの暖冷気をシャットアウトする工法になります。今までの日本の住宅はほとんどがこの床断熱と言っても過言ではないほどです。
この床断熱工法は基礎断熱工法とは違い、床下を室内空間とは捉えていないので扱い的には室外となります。
また、日本では湿気が多いので床下の風通しを良くし、家を長持ちさせるよう換気口が設けられているのが床断熱になります。ただ、この換気口によって冷気が入り寒くなるのは言うまでもないです。
昔は今ほど、異常気象も少なかったので寒冷地であってもこのような断熱でも十分だったかもしれません。土地柄にもよりますが、現在のような天気や気候では不向きなようにも思います。そして昨今の断熱材の技術発達も、この基礎断熱工法に追い風を吹かせたのかもしれません。
弊社で取り扱っているパイナルフォーム商品は基礎断熱でも床下断熱でもどちらでも採用することが可能です。隙間をなくすようピッタリと施工できるので断熱材としての性能も高く評価されています。無料サンプルや業者様向けの特別仕切り価格・無料お見積りなどもご用意しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
基礎断熱のメリット・デメリット
それでは続いて、基礎断熱がどんなメリット・デメリットを持っているのかをご紹介していきます。
どんな断熱材や工法を選んだとしてもそれぞれのメリット・デメリットがあります。その中で、自分たちが住む住宅に合わせて優先順位を付け、最適なものを選択することで後悔なく、納得のいく家づくりが叶うと思います。
基礎断熱のメリット
1: 断熱・気密性の確保
ESPボード材や気密資材などによって施工性に優れ、気密性も高まった!これはかなり革新的な進化とも言えます。
扱いやすいボード材などが多く広まってきたお陰で、細かい技術や経験が必要なく簡単に出来るようになり、施工期間の短縮にも繋がり、職人さんへの技術負担も少なくなりました。
また、技術の発達が進み、より良いボード材も生まれ、気密性も一段と上がったように思えます。
2: 床下空間の活用
床下空間も室内のひとつとして捉える基礎断熱では、床下空間を利用することが可能になります。例えばパントリーのようにちょっとしたモノを置く場所にしてみたり、日が当たらないのでお漬物や乾物など未開封のモノを置くのもいいかもしれません。
3: 冷暖房の省エネにつながる
外気の温度に左右されにくいので常に一定の温度を保ちやすいです。夏には地熱により床から涼しく、冬は基礎のコンクリートによって蓄熱され暖かさが持続する。これにより、冷暖房の省エネにつながり、経済的にもお得にります。
4: 配管の凍結防止になる
これは床下も室内と考えることで、きちんと基礎工事にてコンクリートを張りますので床下の配管関係が凍結しにくくなります。給排水が凍結してしまうと凍結破裂を起こしてしまったり、水道管の蛇口破裂にも繋がりますので要注意です!
床下断熱の場合だとこの凍結防止をする為、防止装置を設置することがありますので、そこでまたコストが掛かってきます。
基礎断熱のデメリット
1: シロアリ対策が必要
シロアリは光や風を嫌うので自ら専用の道を造りだし侵入してきます。床断熱の場合は多少の光が入ることもありますし、目視でシロアリを発見することも出来ます。しかし、基礎断熱の場合だと断熱材の中を通って柱や枠などに入り込むケースもあり、気付きにくいことがあります。
ただ、現在はこのシロアリ対策として防蟻処理が行われた断熱材もありますし、基礎部分の周りにパイプを埋め、そこで防蟻薬剤を定期的に注入することも可能です。
2: 乾燥までにカビが発生する場合がある
これは基礎断熱の際に基礎コンクリートを設けますが、そのコンクリートは完成してもすぐには乾燥しません。ですので水分を含んだ状態で住宅が建てられます。土台にとなるため日も当たらず、そのまま水分を蒸発させ続けますが、乾燥するまでにはその分時間がかかってしまいます。
その為、現在では床下へ空気が滞在しないよう24時間換気を床下を含めた換気通路で設計したり、除湿も可能なエアコンを導入するメーカーや工務店もあるようです。
以上が基礎断熱のメリット・デメリットになりますが、もちろん住む環境条件や要望によっても変わってきます。
それぞれのご家庭で求めるモノや、譲れない部分は異なります。そのため、どの工法で何の断熱材をするかも異なります。パイナルフォームを使用したい方や、スタイロフォームがいいという方もいらっしゃるかもしれません。
また、基礎断熱のデメリットも開閉可能な断熱換気口を設けたり、シロアリ対策をすることで改善できます。大切なのはその土地に合ったものや、材料の品質や性能・特徴をきちんと見定めることです。少しの知識でもあるのとないのでは選択肢の幅も変わります。
是非、今回の記事で床断熱と基礎断熱の違いや特徴を理解していただければと思います。
~断熱材の始まり~豆知識
昔はもみ殻や石灰ガラをいたるところに敷き詰めていたのが断熱材の原型とも言われ、昭和40年代になり、グラスウールや発泡スチロールなどの材料が出現し、断熱材として使用されるようになったのだとか…。
この断熱材の普及は北海道から始まったようです。やはり寒冷地にとっての断熱は重要になるということですね。
日本は高度成長期になり、北海道では高価な石油燃料の温水を利用したセントラルヒーティングが普及しましたが、第一次石油ショックにて灯油が高騰し、暖房器具は石油ストーブに戻ってしまいました。
こうした中で北海道の住宅ではグラスウールの断熱材をいたる所に入れることで寒さを凌ごうとしていました。
冬では0℃を下回る温度になるのが当たり前の北海道では、現在も家の中で生活する際に室温を25度以上に設定し、半袖で生活するのが当たり前の習慣となっているようです。某テレビ番組でも話題になりましたよね!
昔は断熱材を詰め込んで厚 みをを出す方法ほど効果があるとされていました。確かに厚みがある方が断熱性は高いとされますが、それだけでは直接的な効果にはなりません。省エネにも繋がるようにするためにはいくつかの条件をクリアしないと効果的とは言い難いでしょう。
そのため、北海道でも結果はほとんど変わらなかったようです。それどころか、新築から2~3年で断熱材が腐ってしまうというような事が起こり、被害は数千戸にも及んだとか…。
そう考えると、今はとっても快適に過ごせるいい時代です。年々、異常気象が多くなり、環境問題や自然災害などが謳われますが、家に着いてスイッチを入れれば数分で部屋は暖かくなったり涼しくなったりと、昔の人では考えられない環境で生活ができるのは、研究者たちによる技術の進歩と、開発の努力あってこそだと思います。
これからも家を建てる上で、各方面から新しい技術や工法、素材などが出てくることでしょう。その中で、自分たちの環境や生活スタイルに沿ったものを選び、快適な家づくりをしていってください。
弊社で取り扱っているパイナルフォーム商品は優良断熱材として高い実績と評価を得ています。
極寒の北極でも約40年と断熱性能が低下せず、腐食なども見られないのはEPS材だからこそ。是非、一度無料サンプルにて本物を実感してみませんか?
また、業者様向けの特別仕切り価格や無料お見積りもご用意しております。送料や配送などの各種サービス、納品やプレカットのオーダーなどもお気軽にお問い合わせください。
断熱材.jp監修者コメント
堀 清憲(気密測定技能者)
Hori Kiyonori
しっかり断熱をすることで、省エネ効果の高い住宅になることは容易に想像できますが、もう1つ大きなメリットがあります。断熱性能の低い家に住んでいる場合と高断熱住宅に住んでいる場合とでは、健康に対する弊害が生じる可能性も異なります。断熱は家の基本性能。皆さんが快適に暮らせるよう断熱材を通してお手伝いしていきたいと思います。