よく聞くEPS断熱材って?
EPS断熱材とは、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は【Expanded Poly-Styrene】…この頭文字をとって【EPS】と言います。ドイツ生まれの発泡プラスチック系の断熱材になります。
今回の記事ではこの「EPS材」について詳しく解説していきたいと思います。
【今回の記事のポイント】
✓EPS材の特徴や用途などがよくわかる。
✓世界から見たEPS材や製造方法なども理解できる。
更新日:2023/6/23
初稿:2020/10/9
《目次》
・EPS断熱材の特徴
・EPS断熱材のメリットと用途
・断熱材の種類について
・EPS断熱材のポリスチレンとは?
・【番外編】~ヨーロッパではEPS断熱材が主役~
・EPS断熱材の構造・製造方法
・EPS断熱材はエコロジー
EPS断熱材の特徴
特徴1. 施工性の高さ
●施工に合わせてフルプレカットが可能!
●従来工期の6倍短縮(最短2カ月で住宅が建てれる)
●施工品質が安定する ※施工・産廃費用の削減
●天気に左右されずに施工可能!
特徴2. 断熱性能の長期安定性の高さ
EPS断熱材の発泡スチロール断熱材は南極で40年間にわたって使用され、ほとんど劣化しないことが証明されている長期安定の断熱性の誇ります。
また発泡スチロール協会が、他の様々な断熱材とともに3年間の経時変化を調査した結果、断熱性能の変化が他の断熱材と比較して極めて少ないことが実証されました。カビや腐食にも強く、長く住み続けても安心できる断熱材と言えます。
EPS断熱材のメリットと用途
EPS(発泡スチロール)断熱材のメリット
●高い断熱性と耐水性で加工もしやすい
これが大きなメリットの一つとしてあげられます。住宅にとって、とても大切な断熱性と耐水性があるのはとても重宝されます。また加工のしやすさは現場でも助かります!カッターなどでも簡単に切断が出来ますし、発泡スチロール専用の電熱線を利用した専門品もあるので誰でも簡単に加工が可能となり、職人の技や技術が必要なくなります。
●軽量で衝撃にも強い
こちらもEPS断熱材のメリットですね!軽量なのは現場にとってもかなりのストレスフリー!また衝撃吸収にも強いのでちょっとやそっとでは壊れません。
●燃え広がりにくい
燃え広がりにくいのは住宅にとっては素晴らしい災害防止に繋がります。住宅用EPS断熱材は自己消火性のものを使用します。また、燃えてしまった際にも完全燃焼すれば有毒物質が殆どでないので人体や環境にも優しいものとなります。
EPS(発泡スチロール)の用途
魚介類などを運ぶ際に利用する箱や梱包材、緩衝材(クッション材)などにも利用されますが、建材の断熱材としても大活躍!
その使用量は年間20万tにも及ぶとか…。
確かに、市場やスーパーなどで見ない日はないですし、クッション材としても必ずと言っていいほど存在してますよね。
メリットが多いEPS断熱材の無料サンプルも提供しています。お問合せも含めてお気軽にご連絡ください。
断熱材の種類について
断熱材はいくつかの種類があり、発泡プラスチック系や、無機繊維系、木質繊維系などがあります。
無機繊維系はグラスウールやロックウールのことを言い、木質繊維系はインシュレーションボードやセルロースファイバーなどのものを指します。その中でも発泡プラスチック系は主にEPSが主流ですが、他にも4種類あります。一つは、今お話したビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)=パイナルフォームです。
二つ目は押出法ポリスチレンフォーム(XPS)、三つ目は硬質ウレタンフォーム(PUF)、四つ目はポリエチレンフォーム(PE)、最後はフェノールフォーム(PF)となります。それぞれの特質を生かし、使用する場所や用途によって材質を変えて使用します。
今回はその中でもよく耳にする、EPSについてお話したいと思いますが、そもそもポリスチレンとは?というところから深堀りしていきたいと思います。特徴を知ることで、EPS断熱材のメリットを解ることができますので、まずはポリスチレンのことを知りましょう!
EPS断熱材のポリスチレンとは?
ポリスチレン(スチロール樹脂)とは、プラスチックの一種です。プラスチック加工に於いて最も多く使用される素材になりますが、それは価格も安価なのと同時に、高い加工性をもっていることから様々なものに用いられてきたからです。その為、私たちの身の回りに最も多く、使用されている素材でもあります。
発泡スチロールはご存知の通り、軽く、断熱性に優れているので梱包材としてや、カップラーメンの容器などに使用されます。今では、私たちの生活には欠かせないほど身の回りに多く存在し、その存在価値を見出してきました。
ポリスチレンの背景
ポリスチレン(スチロール樹脂)はプラスチック界に於いて、最も長く愛されてきた素材ではないかと思います。発明されたのは今から約170年ほど前の1839年のドイツで発明したとされます。それから、実際に工業化されたのは90年近くも後のことで、プラスチックの存在の中では最も古いとされています。
1930年代の工業化によって、アメリカとドイツが中心となって製造していた為、第二次世界大戦中に日本へも製造加工の研究を行うチームはあったようですが、工業化へは至らなかったようです。
それが1940年代の後半から日本にもポリスチレンが輸入されるようになり、そこから10年以上経って、日本でもやっと技術導入され、日本で生産が本格的になったのは1950年以降になります。
(※ちなみに…発泡スチロールの開発も1950年にはドイツで発明されていました。)
ポリスチレンは加工もしやすく、多岐にわたって対応が出来ることで柔軟性のある素材として生産量も急激に増えていきました。
ポリスチレンの特色
生産性の観点からすると、安価で加工性が高いため、5大汎用樹脂の一つとして名前があがるポリスチレン。その理由には、これほどの流通量と身の回りの製品で使用される頻度にもあり、これはポリスチレンの持つ特性があってのことと言えると思います。
ただ、ポリスチレンとゴムを配合して耐衝撃性を強くした耐衝撃性ポリスチレンや、発泡によって形成された発泡スチロール、そして一般的なポリスチレンなど、モノによって特性は多少違ってきます。
このように、加工性が高いので、用途に応じて配合や調節が可能になり、多種多様なポリスチレンの素材が出来るわけです。ちなみに、現在ではガラス繊維を配合したりして、重合度を高めることで耐熱性などを強化する開発も行われているようです。ポリスチレンの進化が止まりませんね!
以上がポリスチレンについて少し深掘りしてみた内容になります。なんとなく理解できましたでしょうか?では、この上で、EPS断熱材について話を戻しましょう!
【番外編】~ヨーロッパではEPS断熱材が主役~
北緯が高く、冬には寒さが厳しいヨーロッパなどは高断熱住宅先進国とも言われます。そんなヨーロッパで圧倒的なシェアを誇るEPS断熱材!EPSの用途を見てみてもヨーロッパでは6~7割が建材用であるのに対し、日本ではまだ1割程度…
なぜ、ヨーロッパでこんなにも普及しているのかと言うと、EPSの発祥がドイツであることもあるかもしれませんが、一番はヨーロッパの建物にとても都合がいいからでしょう。
日本は築年数が長ければ建物の価値は下がるとされています。
それは建物の構造や建て方にもよりますが、ヨーロッパでは数百年と建物が健在しています。頑丈な石造りが多いからでしょう。地震大国の日本には石造りの家はあまり向いていません。
その為、断熱材も耐久性が求められます。EPS断熱材は繊維系の断熱材とは違い腐食しにくく破損も少ないです。
また、その軽量さと効果が他の断熱材によりも石造りの家にはとても相性が良いのだと思われます。
EPS断熱材の構造・製造方法
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)はポリスチレン樹脂と炭化水素系の発泡剤からなる原料ビーズを30倍~80倍に1次発泡させ、金型に充填し熱することで形となります。この金型は色々な形状に加工が出来るので、どんな形の断熱材でも製造が可能になります。
板状の断熱材の場合、大体は大きなひと塊のブロックをから加工します。畳の大きさで厚みのある金型に1次発泡された発泡粒を充填、加熱後に冷却し脱型、その後は乾燥・養生期間を経て、切断、スライスしていくのがスタンダードな製造方法になります。
また、無料サンプルで本物を実感することもできますので是非一度お試しくださいませ。
EPS断熱材はエコロジー
住宅用段熱材としての大きな役割を担いとても優れた機能を持ったEPS断熱ボードですが、実はエコ上手な一面もあるようです。
なぜ、エコなのかというと…
- ノンフロン
発泡スチロールの原料にはビーズを膨らませる為に発泡剤が入っています。この発泡剤の中にはフロンなどがありますが、フロンはオゾン層に悪影響を与える為、フロンとは違うブタンやペンタンなどの炭化水素系を使用し、断熱材を製造しているようです。
- ノンホルムアルデヒド
使用面積の制限がない建築材料を示す表示で最上位のエフフォースター(F☆☆☆☆)。ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建築材料は、発散量に関する等級区分により、使用面積の制限等がなされますが、EPS断熱材はこのホルムアルデヒドを一切使用していない為、環境に優しく、リサイクルが可能な断熱材となります。
- リサイクル性が高い
発泡スチロールは自然のモノではないので、破棄をするにしてもそのままでは捨てられません。海辺でよく流れてきた発泡スチロールを見たことがありませんか?あのように自然には返ることが出来ないので必ず決められた方法での廃棄処理が必要になります。
地球の限りある資源を大切に、廃棄物を最小に抑え、環境への負荷がかからないよう関係者と連携をし発泡スチロール協会ではリサイクルを推奨しています。再資源化としてマテリアルリサイクルやサーマルリサイクル(燃料)など色々な工夫を凝らし再利用しています。
EPS材についてご質問やお問合せがございましたらお気軽にご連絡ください。また無料サンプルもご用意しておりますのでお手元で実際に軽さなどを実感することもできます。
断熱材.jp監修者コメント
杉森 康裕(気密測定技能者)
Sugimori Yasuhiro
断熱材は建物の性能の「柱」となる重要なポジションを担っています。私たちは一貫して「より良い住宅のお手伝い」をモットーに断熱はもちろん、気密や工法に関わる商品の提案・サポートを行っています。多くの方に『松原産業のパイナルフォーム』をご採用頂けるように精進していきますので是非よろしくお願い致します。