断熱と遮熱の違いは意外と知らない?
ここ数年、夏場の猛暑が続き、「遮熱」というワードが増えてきたように感じます。遮熱は夏場のエアコンなどの冷房負荷を軽減するためには重要なポイントでもあります。しかし、遮熱と断熱の役割を混合してしまうケースも多く、冬場でも遮熱をしているから快適だと思い込んでいる人が少なくないようです。
遮熱も断熱も両方大切な手法ではありますが、双方の仕組みをきちんと理解しておかなければ意味を成しません。せっかく快適にしようと考えているのであれば両方の仕組みをきちんと抑え、正しい知識と施工で利用し、住宅にも住む人にも適した環境づくりをしていきましょう。
今回のポイント
✓断熱と遮熱の違いがわかる
✓使い分けで効果をアップさせる
✓遮熱で快適な住環境を手に入れる
更新日2023/5/24
初稿:2021/4/2
《目次》
・断熱と遮断は何が違うの?
・遮熱塗料は代わりになる?
・遮熱の使い分けが重要になる
・遮断熱住宅のメリットとは?
・遮熱をするなら一番は窓
・遮断熱についてのまとめ
現代のように過酷な気候や天候に見舞われることが増え、影響が大きくなってきた昨今では、今までの対策では追い付かない部分も出てきていると思います。また、世界的に環境問題が深刻になっている今、冷暖房をガンガン効かせればいいといった問題もでないように感じます。地球環境のこと、住む人のこと、そして長い住宅寿命を保つためにも正しい知識をつけ選択していきましょう。
断熱と遮断は何が違うの?
まず、断熱とは壁内部を伝わる熱の量を減らすことになります。外気からの日射を住宅の断熱材でなるべく留めるということです。
一方の遮熱は日射を吸収しないように反射することを言います。ですから、壁の外側から断熱材に移動する前にシャットアウトするイメージです。
それに対し遮熱は夏に熱の侵入を防ぐ目的となります。
このことから考えても、断熱は家の中の空気を維持する目的があり、遮熱は外気の熱から住宅を守る目的になり、それぞれに目的が違います。ですから「遮熱をしているから大丈夫」「断熱をしているから大丈夫」という結果にはならないのです。
しかし、大抵の壁は透明ではないので断熱性と共に遮熱性も兼ね備えます。理由としては、光は熱に変化し伝わるので、光が透過しない素材や材料であれば断熱性能で対応可能なのです。
遮熱塗料は代わりになる?
例えば、築年数が古い住宅で断熱材の性能も低下し、リフォームを考えたとしても構造上、断熱材に厚みが出せない場合があります。
その場合は外張り断熱ですっぽり家まるごとを覆うように断熱材を施工したりしますが、何らかの事情で外張り断熱も難しいという際に遮熱塗料の話が出てきたりします。
外張り断熱について詳しく知りたい方はコチラ➡【https://dannetsuzai.jp/column/27/】
確かに、断熱材と遮熱塗料の両方を上手に組み合わせて使用すると効果はあります。ただし、注意してほしいのが先ほどもお話した目的の違いです。遮熱塗料はあくまで熱を反射させるだけで室内を快適な温度に保ってくれるわけではありません。
簡単に言うと、遮熱塗料には断熱性能はないということです。なので遮熱が断熱の代わりになることはありません。
遮熱の使い分けが重要になる
断熱は床や壁、天井など住宅の大まかな部分に断熱材を隙間なく埋め、気密を高めることで外気に左右されることなく、室内の温度を安定したものへと維持することができます。一方の遮熱は夏場の強い太陽光による日差しで温度上昇するのを防ぐためには効果的です。
具体的な話をすると断熱材は屋根、天井、壁や床、基礎部分に施工することができますが、日光が差し込む窓 ガラスからの熱を防ぎ、遮断するのは難しいのです。そのため、夏の暑い時期には開口部と言われる窓ガラスなどに遮熱対策は役立ちます。
遮断熱住宅のメリットとは?
【断熱住宅は通年で快適な暮らしに】
断熱材をきちんとしている住宅は室内の温度変化によるストレスの軽減に繋がります。様々な工法がある中で、要所に適した工法で断熱材を使用することで室内を通年で快適な温度に保ってくれます。
【遮熱住宅は環境に優しい】
遮熱は先ほどからお伝えしている通り、窓や屋根に対して行われるのが一般的です。大きな窓には庇(ひさし)やシェードを設置し、屋根には遮熱塗料を塗る方法もあります。どちらかと言うと新築段階で行う場合は少なく、リフォームなどで検討される方が多いようです。
遮熱リフォームを行うことで夏場は室内の温度上昇を緩和し、冷房機器などの省エネ効果にも繋がり、環境に優しい対策でもあります。ただし、遮熱対策は未だ一般化されていないこともあり、通常の料金に比べて高価になる傾向にあるのでデメリットもあります。しかし、断熱材をリフォームするよりも施工期間は短く済みますからお手軽に取り入れやすいリフォームでもあります。
断熱材のリフォームについてはコチラ➡【https://dannetsuzai.jp/column/23/】
遮熱をするなら一番は窓
住宅の開口部と言われる窓には断熱を施せません。また、住宅全体をしっかり断熱したとしても開口部から冷気や暖気が出入りする可能性は高く、気密を考えた際にも開口部の仕組みや対策は重要になってきます。
一番多く利用されているのが複層窓です。窓を二重サッシにするなどして窓部分に空気層をつくります。空気層ができることで窓の断熱性能はあがります。ただ、日光などの外側からの熱を遮ることはできないので、そこで必
室内の環境を適温に保つために二重冊子の窓を採用し、外側からの熱を遮断するために住宅の外側部分、もしくは窓に遮熱対策をすることでダブルで効果があり、住宅の天敵とも言われる結露を防ぐことにも繋がります。要となるのが遮熱対策です。
また、サッシはアルミ製が多いのですが、気温が高い地域などには不向きとされています。その場合は遮熱塗料を塗ったり、遮熱対策をすることでアルミでも使用することが出来るようにもなります。
先ほどもお伝えしましたが、「大切なのは外側からの遮熱」です。そこを間違えることなく窓を上手に断熱・遮熱することで快適な住宅づくりが可能になります。
遮断熱についてのまとめ
通年、快適な室内を保つためには断熱材が必要です。現代において断熱材を一切使用しない住宅は皆無です。もしあったとしたら、それは快適とは程遠い生活になることでしょう。断熱住宅は昔に比べ進化もしています。高気密高断熱が良い例です。しかし、遮熱に関してはまだまだ知識や周知が浅いように感じます。
逆に何も知識もなく間違った方法で断熱も遮熱も行ってしまっては無駄でしかありません。大切な住宅を失敗で終わらせないためにもある程度の知識を身に着けてから、新築やリフォームやリノベーションをご検討ください。断熱が行き届かない窓については外側からの遮熱も検討してみてください。
シェードなどは手軽にホームセンターやインターネットでも購入が可能です。また、国の対策として省エネ住宅などを推奨し補助金や助成金が出る場合もあるので確認してみるのも良いでしょう。
まずは基本となる断熱材をしっかり施工し、要所で遮熱を試みることで、外気に左右されることもない過ごしやすい住宅が手に入ります。断熱材は隙間なく施工し、耐久性や耐水性に優れたものがおすすめです。長期安定型の【パイナルフォーム商品】は優良断熱材としても高い評価を受けています。是非、【無料サンプル】をでご覧になってください。
断熱材.jp監修者コメント
杉森 康裕(気密測定技能者)
Sugimori Yasuhiro
断熱材は建物の性能の「柱」となる重要なポジションを担っています。
私たちは一貫して「より良い住宅のお手伝い」をモットーに断熱はもちろん、
気密や工法に関わる商品の提案・サポートを行っています。
多くの方に『松原産業のパイナルフォーム』をご採用頂けるように
精進していきますので是非よろしくお願い致します。