押出発泡ポリスチレンって何?プラスチック系断熱材

押出発泡ポリスチレンについて

今回は断熱材の押出発泡ポリスチレンの商品についてご紹介したいと思います。まずは、押出発泡ポリスチレンというのは断熱材の種類のひとつで、通称【XPS】とも言われ、よく利用されます。

今回はこの押出発泡ポリスチレンの特性やポイントなどをメリット・デメリットを含めてお伝えしていきたいと思います。これから新築や中古リフォーム、リノベーションなどを考えている方は必見です!

押出発泡ポリスチレンフォーム(XPS)

【今回の記事のポイント】
✓押出発泡ポリスチレンフォーム(XPS)の特性や注意点がわかる。

更新日:2023/7/22
初稿:2020/11/27

《目次》
押出発泡ポリスチレンの特性
押出発泡ポリスチレンの注意点
特性を振り返ってみて
断熱の省エネと環境問題について
押出発泡ポリスチレン まとめ

断熱材_スタイロフォーム

押出発泡ポリスチレンフォーム(XPS)とは、ポリスチレンを溶解し、発泡剤や難燃剤などを混ぜて板状に押出形成することで製造されます。これを好きなサイズにカットし加工することで製品になっていきます。
皆さんのよく知っているところでは発泡スチロールが最も多く用いられてる一般的なものと言えるでしょう!この発泡スチロールを使用した断熱材と思っていただければわかりやすいかと思います。

また、同じ原料のEPS材で優良断熱材としても好評な断熱材はパイナルフォームがおすすめ。断熱材のことで何かご要望やご質問などございましたらお気軽にお問合せください。

押出発泡ポリスチレンの特性

  • 断熱性能が高く厚みを出すことで効果アップ

押出発泡ポリスチレン(XPS)はプラスチック系断熱材になります。その為、熱伝導率が低いのが特徴です。熱伝導率が低ければ低いほど断熱性能が高いとされます。また、厚みを出すことでもより一層の効果が望めます

押出発泡ポリスチレンフォームの断熱性能が高いことで、保温・保冷の効果にも繋がりますので年間のエアコンや暖房機器の消費を抑えることにもなります。夏は涼しく、冬は温かく、そんな理想の家が実現となります。また、これに伴い省エネ対策になるので需要が高まる理由がわかりますね。

断熱材_湿気
  • 水や湿気に強い

押出発泡ポリスチレン(XPS)は素材がプラスチック系断熱材ですから、他のグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材に比べると水や湿気に強いです。繊維系の断熱材は水分を含んでしまうと断熱性能が低下してしまったり、劣化に繋がる恐れもあります。
結露と断熱材の関係は住宅にとって重要なポイントです。

また、月日が経っても形が崩れることもないので、隙間などが出来る心配もありません。隙間が出来てしまうと、そこから外気や湿気などが侵入し、劣化を促進させてしまう可能性があります。形が崩れやすいグラスウールは注意が必要です。

発泡スチロール_漂流物
皆さん、海や川に行った際に発泡スチロールが落ちているのを見たことがありませんか?
どこから流れてきたのかわからないようなモノであっても、その原型は残りつつ浮遊していますよね?
それだけ発泡スチロールが水気に強く、形が崩れにくいのがわかります。住宅寿命を延ばすためにはこういったポイントを押さえておく必要があります。
  • 軽量でサイズが自由自在

こちらは先ほどお話したビーズ法ポリスチレンフォーム(ESP)断熱材も同様ですが、何よりも軽いです。そのため、作業する方たちにも好評で施工が楽なことに加え、運搬においても軽量なので人手を要しません。
この軽さは住宅にとっても嬉しいことで、家にも重力がかかります。重たい重力はその分、家に負担を掛けていることになりますから、断熱材も軽い方が家も負担が軽く、長く健康にいられるということです。

また、工法や構造によって厚さやサイズも異なります。その場合は、製造段階で決まったサイズに加工する(プレカットオーダー)も出来ますし、現場で多少のズレが生じたとしても簡単にカットが出来ます

弊社で取り扱っている断熱材商品も同様の素材となり、自由に成形でき、軽量で安心安全な断熱材です。無料サンプルや業者様向けのご提案もございますのでお気軽にご連絡ください。

押出発泡ポリスチレンの注意点

断熱材_注意点
  • コストが高い

グラスウールなどの繊維系に比べると高価になります。それは、製造工程や使用する素材によるものですが、逆に軽量で施工が簡単なことで工賃は安く済む場合があります。
また、経年劣化などが少ないことで途中にかかってくるメンテナンス費などもあまり掛からずに過ごすことが出来るでしょう。そして断熱性能が高いので省エネになりますので、普段からかかっている冷暖房などのランニングコストなどを含めてトータルで考えると決して高いとも言い切れないような気もします。

後は、皆さんの自宅事情や環境などにもよりますのから、色んな面から検討することをおすすめいたします。

熱_断熱材
  • 熱に弱いことがある

押出発泡ポリスチレン(XPS)を製造する段階で難燃剤を使用しているので燃えにくい素材ではありますが、熱によって溶ける性質があり、絶対に燃えないというわけではありません。

火災が起きた際は、やはり高温の熱で直接焼かれてしまうので、その熱によって収縮したりしてしまうこともあります。断熱材が収縮してしまうと断熱性能も低下してしまうので、その場合はリフォームや張替えをすることになります。

特性を振り返ってみて

今までの話を振り返ってみると、発泡スチロールが普及し、様々なものに使用される理由がわかります。
日本においても発泡スチロールの需要はかなり高いと言えます。周囲を振り返って見てみると、身近なものでも発泡スチロールの用途はたくさんあります。EPS材も様々な用途があります。

プラスチック_様々な用途
例えば、カップラーメンの容器なんかもそうですし、お刺身やお魚が入っている容器も発泡プラスチックです。これは耐熱性や保冷性に優れているからと言えます。
また、梱包材としても商品の損傷を防ぐために敷き詰められていたり、冷凍品などを輸送する際にも発泡スチロールの箱は大活躍です!

これほどまでに使用量が増え、私たちの生活を豊かにしてくれる発泡スチロールの可能性は無限大です。普段は見えない断熱材から、手元にあるカップラーメンまでを温めてくれる存在は今までの開発技術があってこそ。

国内生産においても40年近く実績があり、安定した品質を保てることが出来ています。既に様々なモノを輸入でまかなっている日本において、海外に頼らず国内で資材を製造し安定させることはとても大きな意味があると思います。

この発泡スチロールの特性を活かしつつ、断熱材としても断熱性能を発揮する優れたEPS材パイナルフォームは、長期安定型で40年近く断熱性能が低下しない優良断熱材としても高い評価を受けています。是非、無料サンプルで本物を実感してみませんか?

断熱の省エネと環境問題について

近年、大きな問題となっている地球温暖化ですが、この原因は多くが二酸化炭素によるもので、電気やガスなどのエネルギー消費によっても多く排出されています。
そこで、断熱性能が高い住宅を建築することで冷暖房の効率を上げ、エネルギー消費や二酸化炭素排出量を抑制を促します。

また、断熱材の製造過程に関しても、温室効果ガスやオゾン層の破壊の原因となるフロンガスを使用しないことや、有害なVOC(揮発性有機化合物)の発生を抑えるよう配慮しています。

断熱材_環境配慮
日本ではこういった背景から、住宅に係るエネルギーの使用基準が定められています。
平成25年に省エネルギー基準は改正され、地域ごとによっての細分化などの見直しが行われたようです。ZEH住宅なんかもその一つです。
2021年までにはその基準を全ての新築建築物に対して義務化される予定で、税制や住宅ローンなどで受けられる優遇処置などにもこの基準が条件として加えられているみたいなので、これから考えている方や、現在進行中の方は是非、確認してみてくださいね。

ここまで、断熱材が環境に対して向き合うようになったのは有名なアスベスト問題があったからでしょう。アスベストとは石綿のことですが、その耐熱性や保温性などから断熱材として奇跡の鉱物として重宝されてきました。
しかし、健康への被害が明らかになったことで一気に大きな問題へと変わり、アスベストの特性から静かなる時限爆弾とまで呼ばれるまでになりました。

押出発泡ポリスチレン(XPS)には以前から原料にアスベストは使用していませんでした。
しかし、過去に販売された断熱材と珪酸カルシウム板の複合パネルにアスベストが含まれていたという可能性もあるので、確認や処理方法については環境省のHPなどをご覧になってみてください。
環境対応しているEPS材は地球に優しい商品です。

押出発泡ポリスチレン まとめ

断熱材のある暮らし

以上が押出発泡ポリスチレン(XPS)についての紹介になりますが、いかがでしょうか?
ビーズ法ポリスチレンフォームと同じような断熱材になりますが、製造工程が違うこと。断熱性能が高く、経年劣化もおきにくい素材で、環境配慮もあるというのが簡単な押出発泡ポリスチレン(XPS)についてのまとめだと思います。

どの断熱材においても、それぞれ特性や素材は違いますし、メリット・デメリットも違います。
ただ、断熱材ということですから、一番は断熱効果があることが重要になってくると思います。
しかし、住環境や、住む地域によっても選ぶ基準は変わってきますし、それぞれに思う基準や優先順位も違います。ですから、「何が一番いい断熱材か?」というのは愚問です。
皆さんの周囲の環境や、求めるモノ、金額においてもよく考えてから選択することで後悔のない、良い断熱材と出会えるんではないでしょうか?

こういった断熱材などは専門知識だったりもしますし、興味が湧く方も少ないと思います。
でも、住宅にとっては体の一部になるのでとても重要な存在です。これから長く一緒に生活する自宅にも長生きしてもらう為、そして、皆さんが快適な日々を過ごすためにも適当にならず、しっかりと判断していってくださいね!

【補足情報】
押出発泡ポリスリレンの代表的な商品では、米国の化学メーカー、The Dow Chemical Company(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー/通称:ダウ)の【スタイロフォーム】に株式会社カネカの【カネライトフォーム】、株式会社JSPの【ミラフォーム】などが有名です。国内でも工業化によって、こういった断熱材だけではなく、リサイクル製品や、建材関連の品質が向上しています。

以前、お話したビーズ法ポリスチレンフォーム(ESP断熱材)と似ていることで間違いやすい方も多いですが、決定的な違いはその製造方法になります。基本となる原料は同じで、スチロール樹脂になります。

断熱材.jp監修者コメント

監修者
堀 清憲(気密測定技能者)
Hori  Kiyonori

しっかり断熱をすることで、省エネ効果の高い住宅になることは容易に想像できますが、もう1つ大きなメリットがあります。断熱性能の低い家に住んでいる場合と高断熱住宅に住んでいる場合とでは、健康に対する弊害が生じる可能性も異なります。断熱は家の基本性能。皆さんが快適に暮らせるよう断熱材を通してお手伝いしていきたいと思います。

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