高い断熱と気密の住宅について
最近、住宅展示場やハウスメーカーを回ってみるとよく耳にする「高気密・高断熱」というワード。高気密・高断熱という言葉を聞くとすごく機能性に優れた感じに聞こえますが、このワードをインターネットなどで情報検索すると、沢山の意見が出てきます。
「高気密は息苦しいからダメ!」だとか、「気密は高い方が良いに決まっている」だとか・・・
一体どちらが正しいのか?双方においても色々と言い分はあると思いますので、そういったところを理論的に解析してご紹介していこいうと思います。
今回の記事では、気密性や断熱 性について暮らしやすさをポイントに解説していきます。これから、新築・注文住宅を建てる方には参考になるかと思います。それぞれの効果や特徴を理解して、知識を持って住環境を考えることで、後悔のない家 づくりが実現しますよ!
最後までご覧いただき、色々な側面から見て比べ、最終的には皆さんご自身で判断していただければと思います。
【今回の記事のポイント】
✔️住宅の高気密・高断熱についてわかる
✔️高気密・高断熱の対処法が身に付く
更新日:2023/12/25
初稿2021/1/9
《目次》
・高断熱と気密の目的について
ー漏気を減らすことで省エネ対策になる!
ー壁体通気を減らして断熱の性能低下を阻止、結露を防止!
ー計画換気の性能を保つ!
ー各お部屋の温度差を解消!
ー安定した湿度管理!
ー外気汚染物質の侵入を防ぐ!
・あなたは反対派? 反対派の理由とは?
・あなたはどちらを選びますか? ~まとめ~
高断熱と気密の目的について
現在は、どこの会社でも取り扱うほど需要も人気もあるようですが、なぜ、ここまで高気密高断熱の家が求められるようになったのか?その目的を解説していきたいと思います。
漏気を減らすことで省エネ対策になる!
冷暖房を稼働した際に、家に隙間があると暖気や冷気が隙間から漏れ、室内の温度がうまく保てず、冷暖房機器の稼働がフル回転することになります。
そのことで冷暖房機器のランニングコストは高くなり、省エネとは程遠い住宅になってしまいます。
しかし、気密や断熱をしっかり行うことで漏気を防ぎ、光熱費などのランニングコスト削減を図ることが出来ます。
壁体通気を減らして断熱の性能低下を阻止、結露を防止!
冬の外気に比べると、実は家の中では大量の湿気が発生しています。そのため、壁や床に隙間があるとそこから湿気が流れ込み、内壁へ移動し、壁内結露(内部結露)を起こしてしまいます。内部結露を起こすと、柱を腐らせてしまったり、カビを繁殖させてしまうなど、建物にとって良い影響がありません。そういった内部結露を防ぐためにも、可能な限り隙間を減らし、空気の流れを抑え、防ぐことで守っていきます。
ただし、全てを塞いでしまうと逃げ場がなくなり空気の循環がうまく出来ないので、上手な換気をするための方法が構造や設計 上で大切になってきます。
そのため、高気密高断熱の家では24時間換気システムが導入される場合が多いです。
また、結露などを防ぐことは住宅の長寿命化にも繋がりますから、住まいにとってもとても大切になってきます。
計画換気の性能を保つ!
各お部屋の温度差を解消!
住宅全体の気密・断熱が高いと家中どこにいても温かい状態が保てます。隙間風などもなく、空気の通り道も決まっていることで快適な空間を維持しやすいのです。そのため、間取りを細かく取る必要もないですし、北海道など寒い土地のように各部屋ごとにストーブを設置することも必要なくなるかもしれません。
実際、リビングは温かいのに、廊下に出ると寒くて凍えるような経験をされた方も多いのではないでしょうか?しかし、それももう昔の話になるかもしれませんね。
安定した湿度管理!
外気の侵入を防ぐことで室内の湿度も一定に保つことができるようになります。湿度管理ができることでウイルスや感染症などの発症防止にもなりますから、健康面においても安心です。
ただし、開口部と言われる窓やドアに関しては、隙間を無くすことは難しく、それぞれに二重 サッシにしたり、隙間 テープを使用するなど工夫が必要になります。
外気汚染物質の侵入を防ぐ!
以上が、高気密高断熱にする上での大まかな目的や意図となります。
高気密高断熱にすることで部屋の快適性が整い、外の環境の影響を受け にくいのは、住む人にとっても住宅にとっても心地いいと感じるのかもしれません。
このような住宅をかなえるためには、高性能な断熱材と、きちんとした施工が重要になります。天井や壁、床下など、それぞれの場所に合った工法を採用し、隙間なくぴったりと施工すること!
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あなたは反対派? 反対派の理由とは?
まずは、高気密・高断熱に反対派の方々の意見を集めてみましょう!
一番多く見られる意見は「息苦しい」という意見でした。では、その息苦しい派の方々の言い分はどんなものでしょうか?
①閉鎖的な住宅は日本に向いていない。
②昔の家にはそんなの必要なかったのに、突然出てきたらアレルギーなどが増えた!
③隙間を無くした結果、換気不足で換気扇を付けるのは矛盾してるし、壊れたら窒息するのでは?
④高気密・高断熱は乾燥してダメ。石油ストーブを焚いて火事になりやすい!
などなど、よく目にする意見をまとめたものですが、これは実際に本当なんでしょうか?色々と照らし合わながら確認していきましょう。
◆◆①閉鎖的な家に向いてない?
確かに、昔の日本の家づくりにおいては、夏を意識した家づくりが推奨されてきました。その為、夏場でも風通しがよく開放的な家を大切にしてきたところがあります。
しかし、現代において住宅の規模は縮小し、昔のようにお庭が広くある住宅は少なくなってきています。そのため、近隣住宅との距離が近づき、開放的な家よりもプライベートを重視した家づくりが主要になっているように感じます。ご近所付き合いもなくなり、ご近所トラブルや干渉的な人間関係を好まない人が増えたのも理由のうちかもしれません。
また、「開放的な」という部分でいうと、風通しが良いか悪いかは気密や断熱とはまた別の話で、窓の配置によるものが多く、風の通り道が出来るような高い窓や天窓を配置することで解消されます。
しかし、家の設計時にそこまで考慮して家づくりをする方は正直少ないのかもしれませんね。中々目がいかない箇所なのでこれから色々と選ぶという方は注意してみるといいかもしれません。
風通しを良くすること自体は間違っていませんが、窓から取り込む通し風と隙間風や漏気を一緒に考えている方が多いかもしれません。コントロールの出来る通し風は良いですが、想定外の隙間風は理由が違います。
想定外の隙間風や漏気は、冷暖房で調節した室内の空気を室外へ逃がしてしまうので消費ロスに繋がります。また、空気中の湿気を移動させることで壁の中などにもカビを発生させやすくしたり、木を腐らせる原因にもなります。
高性能住宅は息苦しい…そんなイメージから隙間だらけの欠陥住宅が多く建てられてしまっては大変です。きちんと理解して必要な対策を取ることで長寿命の家が完成します。
◆◆②突然出てきたらアレルギーなどが増えた!
確かに、換気不足の住宅によってアレルギー症状が発生するケースはあります。しかし、現在の日本における高性能の家は増えてきてはいますが、普及率はまだ少なく、80%以上の住宅は断熱も気密も不足している住宅が大半です。建築関係者であっても、この高気密・高断熱の住宅を理解できている方は少ないかもしれません。
と、言うことは、高気密高断熱によってアレルギーが発生したとは考えにくく、むしろ断熱不足、気密不足によってエアコンなどの稼働率が増えたことで起きている可能性の方が高いかもしれません。それ以外にもアレルギー疾患やシックハウス症候群が増えたのには社会的な問題や、有害物質の入った建材の使用など、複数の要因が入り混じっているように思います。なので一概に高気密・高断熱だからとは言い難いでしょう。
◆◆③換気不足で換気扇を付けるのは矛盾!窒息も?
確かに、矛盾しているようにも思えますが、空気の通り道を限定することで無駄なエネルギー消費を抑えることもでき、冷暖房のコスト 削減にもつながります。また、循環を良くするためにも効率の良い方法での換気が必要になりますから、その上で換気扇は必要不可欠になるかと。
そして窒息するというご意見は、まさにイメージの先行に過ぎず、エレベーターやマンションに住んでいても窒息で亡くなられた方は聞きません。意図的に完全密閉空間をつくることは可能ですが、高気密・高断熱だからと言って完全密閉空間になることはありません。これは停電したとしても同じです。
「息苦しい」のイメージから連想されやすいのは理解できますが、説明するだけの根拠がありません。もし仮りにそのようなことがあった場合、住宅メーカーや建築関係者は大変なことになりますよね?そうならない為にも事前にきちんと調査や実験は行われているはずですからご安心ください。
◆◆④乾燥してダメ。火事になりやすい!
乾燥については、使用する暖房機器にもよりますし、逆に隙間が多い住宅の方が湿度が外に逃げていき乾燥しやすくなります。よって高気密高断熱だから乾燥するのは間違いで、気密や断熱性能が高い方が湿度管理も上手に行えるということになります。
ただ、石油ストーブを扱う場合には、石油ストーブの説明書にも必ず記載があるように、定期的な換気は必要です。それは一酸化炭素中毒のリスクを持つ為です。これを話すと、前途の窒息に繋がって同じ説明をしなければなりませんから省略しますが、高気密高断熱だから火事になりやすいのではなく、定期的な換気もせず、空気の循環も行っていなければそうなる可能性があるということです。
そして、過去の火事のデータを見ても原因のほとんどは漏電やタバコなどの火によるものが原因で、高気密高断熱だからというのは原因にはなりません。
あなたはどちらを選びますか? ~まとめ~
いかがでしたか?反対派の意見から見えてくるものはありましたでしょうか?きっとイメージばかりが先行して、きちんとした理屈を理解できないまま何となく「反対派」にいる方がほとんどではないでしょうか?また、建築現場や古い工務店の方にも理屈が理解できずに反対を推奨している方は多いようです。
逆に「賛成派」や、日本人らしいどっちも良いとこ取りをしたい「どっちも派」などがいて、それぞれに意見があります。長くなってしまうのでそれは次回お話していこうと思いますが、今回の「反対派」の意見を深掘ってみるだけでも色んなことがわかったような気がします。
だからこそ、「住宅選びは慎重に。」その場の勢いやノリで判断せず、ちゃんと下調べをしたり、専門家に聞いてみたりすることでご自身でも納得のいく買い物ができると思います。今後、新築やリフォーム・リノベーションをご検討中の方は、色々な側面を色々な角度で見て、皆さん自身で判断していってくださいね!
ちなみに、現在の日本における高気密高断熱の住宅の普及はまだまだで、海外に比べるとかなりの差があります。海外では早いうちからこの高気密高断熱の住宅に注目がいき、今では当たり前の住宅様式になっています。
もちろん、環境の違いなどもありますから一概に正しいとは言い切れませんが、環境を見てみても今と昔では日本でもかなり変化があったと思います。それなのに古い時代の住宅様式で生活するのにはもう既に対応しきれなくなっているんじゃないかと思います。
世界的な環境問題から、国や政府の推奨もあり、建築基準法の改正や、住宅の仕様もかなり変化してきています。【ZEH】や【HEAT20】など、高品質・高性能を基準とした住宅も出現し、世界に遅れを取っている日本でも少しづつですが、進化しています。
そのため、パイナルフォームのような優良断熱材の需要も高まり、各社からご相談をいただきます。パイナルフォームは成形が自由自在にできるため、どんな場所にもピッタリと隙間なく施工することが可能。また、発泡プラスチック系なので耐久性にも耐水性にも優れ、高い断熱性能を誇ります。是非、この機会に【パイナルフォーム商品】にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
コラム監修者からのメッセージ
断熱材は建物の性能の「柱」となる重要なポジションを担っています。私たちは一貫して「より良い住宅のお手伝い」をモットーに断熱はもちろん、気密や工法に関わる商品の提案・サポートを行っています。多くの方に『松原産業のパイナルフォーム』をご採用頂けるように精進していきますので是非よろしくお願い致します。