屋根の断熱材~RC・S造住宅~について
今回はちょっと専門的なRC・S造住宅のEPS断熱材についてご紹介していきたいと思いますが、そもそも「RC・S造住宅って何?」って言う方が多いのではないでしょうか?
今回の記事では、このRC・S造住宅の断熱材に関して解説していきたいと思います。
【今回の記事のポイント】
✓RC・S造とそれに関する断熱材のことがわかる。
更新日:2023/9/27
初稿:2020/12/4
《目次》
・RC・S造住宅とはどんなもの?
・屋根断熱材~RC・S造の場合~
・屋根の種類について~豆知識~
・屋根断熱~RC・S造住宅~まとめ
RC・S造住宅とはどんなもの?
RC・S造住宅と言うのは建築の構造を意味します。このアルファベットはそれぞれの材料や材質の頭文字をとって表されています。RC造などの他にもW造やSRC造などがありますが、詳細は以下の通りです。
◆W造(Wood):木造
◆S造(Steel): 鉄骨造
◆RC造(Reinforced Concrete): 鉄筋コンクリート造
◆SRC造(Steel Reinforced Concrete): 鉄筋鉄骨コンクリート造
このように見れば、何となく理解が出来るかと思います。よく聞く鉄筋コンクリートや木造など、住宅の建材についてということです。そして今回、お話するRC・S造住宅は鉄筋コンクリート造と鉄骨造になります。
RC造は主に柱や梁、床に壁などが鉄筋とコンクリートで構成されています。鉄筋で型枠を組み、そこにコンクリートを流し込み、固めます。この2つの材料を組み合わせることでマンションなどに必要な強度を保ちます。熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆うことで鉄筋を守り、酸化も防ぎます。
S造も同様、柱や梁など骨組みに鉄筋を使用します。Sはスチールの略ですから、木造の柱がそのまま鉄筋に変わったものをイメージするといいでしょう。このRC・S造住宅において必要になってくる断熱材。今回はこのRC・S造住宅においての屋根断熱についてお話してきます。
屋根断熱材~RC・S造の場合~
RC・S造住宅の屋根断熱についてですが、基本的に屋根は垂木という屋根の骨格にあたる部分の上に下地材を敷いて構成します。
これを野地板と言います。その上に下地材と言われるような建材が敷かれ、屋根材が敷かれ、屋根が完成します。屋根断熱を行わないで天井断熱にする場合には、ここに断熱材を使用せず、ルーフィングと言われるものが変わりによく利用されますが、近年の猛暑や寒波を考えると屋根の維持的にも断熱は必要な気がします。
そして今回は、屋根断熱を施工する場合に使用するEPS断熱材についてご紹介いたしますが、この中でもいくつかの種類があり、それは屋根の形状や種類によって異なります。ここでは大きく分けて4つ、ご紹介します。
◆ 屋根下葺材(RC用)
◆ 伸縮目地機能付屋根断熱材
◆ 金属屋根下地材
◆ 折半屋根下地材
この4種類でそれぞれEPS断熱材を使用いたしますが、屋根に合わせてEPS材の形状や大きさも変わります。各屋根によって自由自在に成形できるのはEPS断熱材だからこそ出来る良さです。では、この4種類をもう少し詳しくお伝えしていきたいと思います。
◆ 屋根下葺材(RC用)
下葺材は用途や目的に応じて、また種類がいくつかありますが、日本の瓦屋根などの場合に軽量化を図り、EPS断熱材が使用されることが多いです。施工性や断熱性、防水性を高め、外断熱の和・洋瓦の下葺材となります。
◆伸縮目地機能付屋根断熱材
こちらはマンションやアパート、総合施設などの屋上に当たる平らな屋根部分で使用されることが多いです。屋上スラブの上に防水層を設け、その上にEPSボードを貼り、絶縁シートに保護層の順で構成される外断熱の防水工法になります。平らな分、水が溜まりやすいですからね!こういった工夫が必要となります。
歩行可能な屋上での高断熱に有利ですが、施工の際には排水口廻りに工夫が必要です。防水層の上に敷き込み、その後簡単に打設ができるので外断熱も同時に行える優れモノです。断熱材と伸縮目地下地が一体化したEPS製品になります。
◆ 金属屋根下地材
金属屋根とはスレート屋根などが多く、一般的な住宅に一番多い屋根になるんではないでしょうか?屋根の間に空気層を形成し、高い断熱性と結露防止など、構造体の保護を図る特殊形状のお下地材になります。新築だけでなく、屋根の改修工事にも対応可能です!
◆ 折半屋根下地材
折半屋根とは波状のアルミ材で出来た屋根が多く、工場や店舗、事務所なんかによく利用されます。屋根が波状になっていますから、そこに断熱材を敷き込むのは大変そうに見えますが、自由自在のEPS断熱材であれば簡単にはめ込むことが出来ます!
屋根の種類について~豆知識~
屋根はそれぞれ、住宅によって形が異なります。絵で描くと三角の屋根もあれば、四角の屋根もありますよね?それは住宅のデザインや、構造、そしてその地域の環境によって変わってきます。
例えば、海が近くにあり、潮風の影響がある場合には重く塩害に負けないような屋根が求められます。雪が降りしきり、雪が積もる地域では雪が屋根から落ちるような三角屋根が主流だったり。逆に暑い地域では太陽の熱が強烈なので金属は避け、平らな屋根にすることで屋上としての利用を考慮したりと、各地域によって需要が違います。
実は屋根の形状は如何様にもでき、設計段階で決まります。今お伝えしたような地域環境、室内の空間利用、デザインによって設計士が決めていきますが、昔に比べると種類は豊富になりました。これも設計技術や材料の品質の良さがあってこそです。
・切妻屋根(きりつまやね)・寄棟屋根(よせむねやね)・方形屋根(ほうぎょうやね)
・陸屋根(りくやね)・ギャンブレル屋根・片流れ屋根(かたながれやね)
・はかま腰屋根(はかまごしやね)・入母屋屋根(いりもややね)・錣屋根(しころやね)
・マンサード屋根・越屋根(こしやね)・招き屋根/差し掛け屋根(まねきやね/さしかけやね)
・バタフライ屋根・のこぎり屋根
簡単にわかるところだけでもこれだけの形状の屋根があります。それによって使う断熱材の種類や形も変わります。これに続いて、屋根材の種類も違います。大きく分けると4つの部類に分かれます。
- 粘土系
粘土系というのはいわゆる瓦屋根のこと言います。和瓦、洋瓦とまた色々と種類はありますが、粘土を使った焼き物の屋根材です。耐久性があり、塗装の塗り替えなどが必要ありません。他の屋根材に比べると重く厚みもあり、遮音、断熱、耐熱には効果があります。
しかし、その重さから耐震性を考慮して使用する必要があります。
瓦屋根は日本家屋や、海沿いの住宅に多く見られる傾向があります。沿岸では海風の強さや塩害があるので瓦屋根が好都合なのかもしれませんね!メンテナンスとしては下葺材や棟の漆喰部分などの定期点検が必要になります。
- セメント系
セメント系は名前の通り、セメントと砂を原料とし、プレスセメント瓦やコンクリート瓦などがあります。製造方法によって分類され、施工性も良く、衝撃に強いのが特徴です。また、破損の際などは1枚単位での交換が可能なところもメリットではあります。
ただ、塗装が薄れていくと割れやすくなってしまったり、そこからカビやコケなどが繁殖してしまう可能性もあるので、定期的にメンテナンスをする必要があります。
- スレート系
スレート系は日本の住宅で一番よく目にする屋根材かもしれません。セメント成分に繊維質の材料を配合してつくる薄い屋根材です。他にもカラーベストやコロニアルなどと呼ばれることもあります。
カラーバリエーションが豊富で価格も安価なことで普及したと考えられます。耐久性に関しては瓦屋根に比べると高くはありませんが、そこに耐久性に優れた塗料などを施すことで強化できることもあります。また軽量なので、施工の際は比較的簡単に行えると言えるでしょう。メンテナンスで言えば、塗装の追加や、葺き替え工事なんかもあります。
- 金属系
金属系はよく聞く、トタン屋根のことを指します。トタンは亜鉛メッキ鋼板のことを言いますが、最大のメリットが雨漏りしないということ。尚且つ、軽量で安価なため、昔はトタン屋根を選ぶ方が多かったようです。その反面、サビが発生しやすいのがデメリットで、断熱性能においても低いので、断熱材を入れることがおすすめです。
最近の住宅ではあまり見なくなったトタン屋根ですが、地方や田舎に行けばよく見かけます。小屋や納屋でもよく利用されますね。こちらもカラーバリエーションは豊富なので選べますが、塗装メンテナンスや葺き替え工事もメンテナンスとしては入ってきます。
以上が屋根の種類についての豆知識になります。周囲を見渡してみると、どんな屋根で、どんな素材を使っているのかが見えてきて楽しくなりますね! また、自分が住んでいる住宅や親族の住宅を見て、リフォームやリノベーション、メンテナンスの必要性なども一緒に見えてくるかもしれません。
屋根の種類によってそれぞれ注意点があり、費用や対策も異なります。家を全体から見た雰囲気や機能性も含めて検討するのはもちろんですが、屋根は必ず劣化します。そのため、数年後には修理や補修、改修などが必須になります。面積も広く、大きな出費になるので、事前にそういったところも確認し、考慮するとよいでしょう。
どんな屋根にも適応できる断熱材のEPS材のパイナルフォームであれば、劣化スピードも遅く、高性能です。改修も表面だけの張り替えで済むことが多いです。まずは、人気のパイナルフォーム商品をお手元実感してみませんか?
屋根断熱~RC・S造住宅~まとめ
以上が屋根断熱の解説になります。屋根にも色々な種類があることがわかりますよね?また、その構造や環境、デザインによっても変わってくることで、断熱材の形や特性も含めて選ぶ必要があります。EPS断熱材は多種多様な場面での使用が可能になることで選ばれる断熱材となりました!
屋根断熱の他にも、選択肢として天井断熱などもありますから、一概に屋根断熱を設置すればいいというわけではありません。また、天井にグラスウールなどを使用することはあっても、屋根断熱では雨や外気の問題もあり、適切とは言えません。そのため、EPS材のような湿気にも強く、耐久性のある断熱材が使われます。
また、近年の環境変化や自然災害などを思うと、屋根断熱の効果や特性を理解して施工することも必要なのかもしれませんね…
これは断熱材だけに言えることではなく、家づくりをする上で何が必要で、何を求めているかをきちんと精査して最適なものを選んでいくことが大切となります。その場の雰囲気や、勢い、流行に惑わされることではなく、これから永く住み続ける上で必要な最善策や役割を考えていくことで失敗のない家づくりが出来るのではないかなと思います。もちろん、断熱でいうと屋根に留まらず、外壁や部屋等も重要なポイントです。
やはり、高価な買い物になるので、失敗や後悔は誰しもがしたくないと思います。興味も関心もない断熱材や、屋根のことだとは思いますが、住宅にとっては大切なことになります。是非、皆さんも自分たちの住まいを快適に、生活を豊かに安心して過ごすために、住宅にとって大切なことも考えてあげてくださいね!屋根断熱についての相談やお困り事がありましたらお気軽にお問い合わせください。
コラム監修者からのメッセージ
堀 清憲(気密測定技能者)
しっかり断熱をすることで、省エネ効果の高い住宅になることは容易に想像できますが、もう1つ大きなメリットがあります。断熱性能の低い家に住んでいる場合と高断熱住宅に住んでいる場合とでは、健康に対する弊害が生じる可能性も異なります。断熱は家の基本性能。皆さんが快適に暮らせるよう断熱材を通してお手伝いしていきたいと思います。