高気密住宅と言われるには?
最近は、どこのハウスメーカーや工務店でも「高気密住宅・高断熱住宅」というワードを使っていて、よく耳にする方も多いのではないでしょうか?「高気密・高断熱」と聞くと何だかハイスペックな感じや高価なイメージを持たれる方も少なくありません。
今回の記事では、この高気密・高断熱の家がどんな家で、何を基準に判断されているのか?を理由も含めて紹介していきたいと思います。ここで高気密・高断熱の住宅の本当の意味を知り、知識をつければ、きっとイメージも払拭され、高いと思って嫌厭していたものも理由や背景を知ることで、イメージが変わるかもしれません。
今回の記事のポイント
✓高気密住宅を求める理由がわかる
✓高気密と断熱材の密接な関係がわかる
✓高気密住宅の喜寿にゃ測定方法がわかる
✓高気密住宅のメリット・デメリットを理解できる
更新日:2023/12/25
初稿:2022/2/22
《目次》
・家に高気密を求める理由とは?
・高気密と断熱材の関係性とは?
・高気密住宅の基準や測定方法は?
・高気密住宅のメリット・デメリット
・高気密高断熱住宅についてまとめ
家に高気密を求める理由とは?
まず始めに、なぜ、住宅で気密を高める必要があるのか?を考えていきたいと思います。
住宅には必ずどこかしらに隙間があります。構造上の各材料の間に生じる隙間や、ドアや間取りを分けている部分にも隙間があります。
例えば、壁と床の間に出来る隙間や、コンセントや換気扇、パイプなどの取り付け部分に生じる隙間などさまざまですが、それぞれの隙間はわずか0.5mm以下がほとんどです。しかし、その少しの隙間を住宅全体で考えてみると、それなりの隙間となります。
わずかな隙間が細々と存在することで、そこから少しづつ空気が移動してしまい、せっかく暖房機器で温めた空気も天井や壁から暖気が逃げ、床の隙間からは冷たい冷気が入ってくる。そして夏には、エアコンで涼しくなった空気も、蒸し暑い外気の侵入によって冷えきらず、エアコンの稼働効率も悪くなってしまうという悪循環を生みます。
また、室内の計画換気もうまくいかなかったりと良いことがありません。そのため、隙間は少なければ少ない方が快適な空間を保ちやすいということから、高気密住宅が求められるようになりました。
特に、最近の日本は、環境変化が大きく、大寒波や猛暑が続く日も増えていることや、燃料などの高騰によって、効率よく快適な生活を過ごせるような住宅が求められ、高気密・高断熱の家が人気となっています。
少しでも住宅の隙間をなくし、高気密にするためには、隙間が出来やすい部分に巾木などの仕上げ材を施すことや、マットやカーペットを敷いたり、コーキングのようなもので隙間を埋めるような工夫が必要です。
高気密と断熱材の関係性とは?
高気密にするためには隙間が重要ということはご理解いただけたかと思います。その上で、大切になってくるのが「高断熱」です。
先ほどもお伝えしたように、冬に暖房機器を付けて温まりにくかったり、夏場にエアコンを付けているにも関わらず、全然冷えなかったりという原因はお部屋の隙間だけじゃないんです。
もちろん、部屋の隙間を減らすことも重要ですが、一番大切なのは住宅内部に施工されている断熱材の隙間です。
そんな重要な役割を持っている断熱材にもたくさんの種類があります。繊維系と言われる断熱材で有名なのがグラスウールやロックウール。木質系ではセルロースファイバーやインシュレーションボードなどが代表的です。その他、発泡プラスチック系の押出発泡ポリスチレン(XPS)やビーズ法ポリスチレン(EPS)、天然素材系の羊毛などに分かれています。
種類も豊富で、専門的な知識や、そもそも断熱材のことを知らないという方もいて、何を選んだらいいのかわからないという場合も多いです。それぞれの特徴について、詳しく知りたい方は別のコラムに記載があるのでそちらを参考にご覧になってみてください。
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名前の通り、発泡プラスチックと同様の成分で製造されているので、成形も厚みも自由に選ぶことが可能で耐水性や耐久性にも優れています。成形については、事前に長さや幅、奥行などが分かっていればそれに合わせて製造し、プレカットをして納品することも可能ですし、現場でカットすることも出来るので微調整も効きます。
また、断熱材は厚みがあればあるほど、断熱性能が高まるとされ、厚いものが好まれますが、住宅の構造の問題で決められた厚みでなければ施工できない場合もあるので注意が必要。そして均等な厚みでなければ断熱効果が低下しやすいです。その点、発泡プラスチック系の断熱材であれば様々な条件や規定もクリアできる優秀素材なのでおすすめ!
隙間なく、ピッタリと納めることができ、断熱性能も高い優良断熱材で、高気密・高断熱の住宅が手に入ります。弊社で取り扱っている【パイナルフォーム】は優良断熱材として実績もあり、長期安定型として人気の商品です。
高気密住宅の基準や測定方法は?
高気密住宅の基準についてですが、今現在で、気密の基準は定まっていません。そのため、高気密高断熱の住宅と言ってもそれぞれの会社で決めた数値を基準にしているので、全てが一定の値をクリアしているかどうかは正直わかりません。ただ、家の隙間を数値化した【隙間相当面積(C値)】が存在し、この数値を基準として見ている場合が多いです。
建物の広さあたりに、どれくらいの隙間があるかを測り、表す値で、隙間面積(cm2)/床面積(m2)の単位で表し、数字が小さければ小さいほど、気密性能が高いとされています。
その中でも、一つの目安となっているのが【C値=1.0cm2/m2】で、C値=1.0未満で計画換気ができていると言われています。この測定は、特殊な気密測定器を使用して、細かなデータを入力し、機械によって計算された数値です。
このC値を算出するには、室内の気圧を調べる気密検査を実施する必要があります。基本的に高気密高断熱の住宅をうたっている住宅では必ずこの検査が行われ、C値を出しているはずです。
気密検査を実施するタイミングは、本来、家の工事が終了した時点で行われるものですが、完成後に測定し、隙間が多いことが発覚すると、その後、完成した床や壁を剥がしたり、はめていた窓を取り外したりと、隙間の特定が難しくなり、二度手間になる恐れがあるので、現在は工事途中で実施する場合が多いです。
それでは、この気密検査はどのようにして行われるのでしょうか?
まずは、気密検査に必要な機材をセットします。一部の開口部にバズーカのような大きなファンを取り付けます。そして、他の開口部(ドアや窓)は閉め切ってファンによって室内の空気を外へ逃がしていきます。(写真はイメージです)
室内の空気を逃がすことで、一緒に室内の気圧が下がっていきますが、気圧の変化が見られない場合は、どこかに隙間があるということになります。この検査を複数回繰り返し、隙間を確認し、気密を確保していきます。
この時、大きな換気扇や給気口の出入口はテープなどで仮で塞ぎますが、窓のサッシ部分はテープで密閉することはないようです。なぜなら、開口部と言われる窓やドア周辺には必ず隙間ができ、メーカーや商品によって気密性や断熱性能が異なるからだとか。そのため、気密性を高めたいのであれば、窓を二重サッシにしたり、気密性の高い商品を選択するといいでしょう。
以上が、気密の基準や測定方法についてでした。何となくイメージはつきましたか?
ご自宅の気密性が気になる方は、建築会社やハウスメーカーに依頼して気密検査を行ってもらうのがいいでしょう。最近の新築や一戸建て注文住宅などは、この気密検査の見学会を行っていたり、住宅展示場でも精度を確認してもらうように案内や説明をしているところも増えています。
高気密住宅のメリット・デメリット
続いては、高気密住宅のメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
まずは、気密性を高めるとどんなメリットがあるのか?ですが、一番は光熱費などの省エネが可能になり、コスト 削減につながるということ!気密が高くなることで外気の影響を受け にくくしてくれ、部屋の温度が一定に保ちやすくなります。そのため、寒い暑いと感じることも少なく、1年を通して快適な室温を保つことができます。
ヒートショックなどのリスクを防ぐために、浴室や床下をリフォームするなど対策を取る方も少なくありません。暑さや寒さから守るだけでなく、家族の健康にもつながるので、高気密・高断熱の住宅が人気となり、相談にくる方もいるようです。
また、ここ数年で出回っている【ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)】を採用する方も多く、高気密高断熱化が主流となりつつあります。ZEHは外壁の断熱性能などを大幅に向上させることと同時に、効率的な設備 システムの導入。よって室内環境を一定に保ちつつ、大幅な省エネルギーを実現。そして再生可能エネルギーを導入することで、年間の一次エネルギー消費量を抑えようと目指した長期優良住宅のことを言います。
このように、高気密住宅にはメリットが多く、選ばれる理由と人気が伺えます。しかし、デメリットと言われる部分もあります。それは、決して安いわけではないということです。高性能なシステムや材料を導入することで費用も高くなりがちです。ただ、ポイントとなるのが長期優良住宅というところです!
高気密高断熱にすることは人間だけじゃなく、住宅にとっても嬉しいことで、住宅寿命にも繋がります。また、国や地域によってZEH住宅には補助金制度などの予算がついていることもあり、負担を軽減できる可能性もあります。詳しくは自治体にご確認ください。
高性能なZEH住宅や高気密・高断熱の住宅には、必ず高品質・高性能なパイナルフォームなどの断熱材が使用されています。高気密・高断熱の住宅をご検討されている方は、まずは、断熱材にも目を向けてみてはいかがでしょうか?
高気密高断熱住宅についてまとめ
住まいと暮らしを快適なものにしたいのであれば、やはり高気密・高断熱の住宅がおすすめです。空気の移動を抑え、冷暖房の効果を高め、暖かく涼しい家を実現。そして、高気密住宅には高断熱が欠かせないものとなります。
地域や土地によって、内壁や外断熱など、断熱材を施工する場所も工法も適切なものが異なり、断熱材の種類によっては防湿 シートが必要になったり、それぞれの断熱材ごとに注意点もございます。
コラム監修者からのメッセージ
断熱材は建物の性能の「柱」となる重要なポジションを担っています。私たちは一貫して「より良い住宅のお手伝い」をモットーに断熱はもちろん、気密や工法に関わる商品の提案・サポートを行っています。多くの方に『松原産業のパイナルフォーム』をご採用頂けるように精進していきますので是非よろしくお願い致します。